2016年2月5日金曜日

『トルコ国病院PPP事業セミナー』概要

<トルコとの貿易・輸出入、トルコ投資、トルコ進出を考える日本の企業様へ>

当ブログにてご案内していた、JICA主催の『トルコ国病院PPP事業セミナー』に参加。


定員を超える参加申し込みのため直前に会場が変わり、広くなった会場も満席という状況で、当該事業への各関連企業の関心の高さが覗えた。


概要としては次の通り。


トルコ共和国100周年となる2023年に向けた国家計画VISION2023の一環として、トルコは合計5万床の国立病院を官民連携のPPP事業で整備する。
 


トルコでは2,008年に導入された皆保険制度により、公立病院での受診は基本100%無料となり、国立病院の需要は上がったが病床数が圧倒的に不足しているという現状がある。
 


そこで、PPPでの国立病院整備事業が2008年から開始。ただし、第一号事業は2011年に落札されたが、その後法整備の問題もあり2014年まで動きがなかった。2014年5月の実施細則制定で法環境も整い、今一気に動き出している
 
現時点までの病院PPP事業案件(2008年~現在)は、未公示案件も含めるとトルコ全土で65件(55562床)であり、既にファイナンスクローズした案件も増えている。


完全に新規で建てるものもあれば、設備・機器の老朽化した既存病院を移転・新設したり、比較的新しい既存病院に併設するなどもある。
 
中でも、イスタンブールのサビハ・ギョクチェン国際空港の目の前に建設予定のサンジャッテペ総合ヘルスキャンパスなどは、病床数3800(総合2400床/小児1400床)、一日当たり3万人の外来を見込む大型案件。現在は空軍基地として使われている300万平米の敷地にショッピングモールなども建設する予定で、欧州最大規模の総合病院となる予定だ。
当該案件に関しては、特にトルコ保健省から日本企業の参画が期待されていると言う話である。
 

その他、病院PPP事業進捗状況、スキーム説明、リスク/リターン、入札プロセスに関する説明など、実際の参画にまつわる様々な情報が開示され、トルコの病院建設事業が世界規模でも大きな市場であることが強調されていた。


その後の活発な質疑応答の中で、落札からファイナンス・クローズまで3~4年かかるなどタイムラグが生じることでインフレや為替変動のリスクへの懸念、また大型規模の病院を作ってからの医療設備にかけられる予算、設備メンテナンス、医療従事者の不足などへの懸念があることが感じられた。

いずれにしても、かなり具体的な質問内容からするに、本PPP事業への注目度は非常に高いようだ。

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2016年2月2日火曜日

Independent紙告発~シリア人の子どもの労働

<トルコとの貿易・輸出入、トルコ投資、トルコ進出を考える日本の企業様へ>

中国、東南アジア、インドなどに続き、トルコは今世界のトップブランドの衣料品生産地として着実にシェアを広げている。安価な労働力と高水準の品質が魅力のトルコ製衣料品だが、このほど英国で「トルコを陥れる」告発記事が出た。
以下、2月1日付けのRadikal紙より。

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『英国でトルコを陥れる告発!』

Independent紙は、イギリスの二大衣料品ブランドNextとH&Mが、トルコで彼らのために製品を製造するテキスタイル工場でシリア人の子どもが働かされていることを認めた、と報じた。
児童労働者が働かされていることが判明してから、トルコから製品を入れている他の衣料品ブランドからも、製造にシリアの子どもが携わっているかどうかを確認するよう求められたとしている。


BBCトルコの報道によれば、Independent紙は次のように報じている。

「中国、カンボジア、バングラデシュと並び、トルコはイギリスで販売されているテキスタイル製品の最大の生産国の一つである。Topshop、Burberry、Marks&Spencer、Asosなどのブランドもトルコに製造を委託している。トルコはまた、250万人を超える移民により、世界で最も多くのシリア人を抱える国でもある。」

報道では、アンカラ政府がシリア人難民のために門を開いたことが肯定的に受け止められたとした上で、EUとの間で新たに到達された合意によれば、シリア人への労働許可はまだ今月これから下りる予定となっていることが指摘された。同紙は、トルコで何千人ものシリア人がトルコの最低労働賃金である月額1300TLに遠く及ばない低賃金で働かされている、としており、12歳以下の子どもが働かされることは、トルコ国憲法及び国際法に抵触する、と指摘している。

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以前にも当ブログで書いている通り、シリアからの難民を受け入れたトルコではあるが、難民の生活環境は必ずしも保障されていないのが現状だ。底辺の暮らしを余儀なくされている中では、児童労働はやむを得ない選択かもしれず、またそこに付け入る生産者もいることは容易に想像できる。
しかしだからと言って、ただ「子どもを働かせてはならない」とだけ言っても、それで困るのは難民である本人たちである。子どもが低賃金で駆り出されなくても済むようなシステムが早急に構築されなければならない。

上記に挙げられたような世界的な大手ブランドがトルコを生産拠点にしているのであれば、むしろ『シリア難民支援プロジェクト』をブランドイメージの中に含めて展開しても良いのではないか。
世界中多くの人々がこの悲痛な問題を前に自分の無力さを感じている中で、自分がそのブランドの製品を購入することで彼らの支援に繋がるとなれば、少しは救われる思いにもなるし、ブランドのイメージアップも図れると思うのだが・・・。
そのようなことを、この地球規模の人道危機に際して思ってしまうこの頃である。

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