2015年10月15日木曜日

トルコに潜むISの影


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10月10日にトルコの首都アンカラを襲った最悪のテロ事件は、既に99人の死亡が確認されている。当局は、犯行を行った組織としてISにほぼ焦点を定めて捜査を進めている。二名の容疑者が既に特定されているが、二人ともがISに傾倒したトルコ人の若者であることが公表されている。

7月に起こったトルコ南東部のスルチでの自爆テロでその名が知れ渡った『ドクマジュラル・グループ』という組織が、今回の事件でも捜査線上に上がっており、二名の容疑者はいずれもその組織との関連が指摘されている。

『ドクマジュラル・グループ』とは、2013年からトルコ南東部アドゥヤマン県の片田舎で発足した、シリアのISに戦闘員を送り込む組織。その後県の中心部でも活動するようになり、『イスラム・チャイ・オジャウ』というチャイ・ショップを拠点に若者たちを洗脳し、ISの「聖戦」に駆り立て、シリアに送り込むようになる。そのほとんどがアドゥヤマン出身者で、構成員は60名ほどと考えられている。
子どもたちを奪われた被害家族たちの訴えにより、『イスラム・チャイ・オジャウ』は当局の家宅捜索を二回受け、既にこの店は閉鎖されている。

公安及び諜報局が全国の警察に配布した、自爆テロ実行犯(可能性)として手配中の21名のリストの内、16名がアドゥヤマン県出身かつ『ドクマジュラル・グループ』のメンバーであることが分かっている。ちなみに、今回の事件の容疑者とされている二名とも、この二つの条件を満たしている。

アドゥヤマンからISに参加した人数は200人に上ると言われている。シリアに入国したメンバーはISの首都とされるラッカで爆弾と武器の訓練を受け、現地のクルド人部隊YPGとの戦闘に及び、その後シリア内のIS支配地域やトルコ国内に拡散した。

もともと、ISはトルコに対し、連合軍に基地を開放したことで数多くのムスリム同胞の死を招いた、またトルコ人のシリアへの入国を妨害するために国境の制限を強化し、ISに対する軍事行動も行ったとして、トルコをターゲットとすると脅迫していた。
また、ISがトルコ国内で活動する別の理由として、ISがシリア北部のコバニやテルアビヤドでクルド人部隊に敗北したことがあげられる。『ドクマジュラル・グループ』の指導者はクルド人部隊YPGの捕虜となったと考えられており、クルド人への報復のために、トルコ国内でクルド系政党HDP及び彼らの支持者を血祭りにあげようとしている、という見方もある。

『ドクマジュラル・グループ』に名を連ねている若者たちの近親者たちは、突然行方をくらました息子を探してシリアへ渡ったり、どうしても連れ戻すことができないと分かるや警察に相談するなど、わが子の変貌に戸惑いを隠せずにいる。
この状況は、日本を揺るがしたカルト集団『オウム真理教』の事件などを彷彿とさせる。

『ドクマジュラル・グループ』の拠点となったアドゥヤマンは、古代から人類の文明の栄えた地として知られるが、現在はトルコの中でも開発の遅れた貧しい地域の一つである。住人の多くが保守的で信仰心の篤いムスリムであり、宗教は彼らの生活の支えとなっている。トルコ人、クルド人、トルクメン人、アレヴィー派、スンニ派など、様々な人々が一緒に暮らしている。

ISに傾倒するのは、そのほとんどが洗脳のターゲットとなりやすい若者である。
また地域の貧困や職不足も要因のひとつとして考えられるのかもしれない。社会に対する不満は、洗脳の際の重要な鍵となるのではないか。
アドゥヤマンの住人は、地元がISと自爆テロに結び付いた形でその名が広まっている現状を嘆いている。


~情報元~
http://www.haberturk.com/gundem/haber/1140215-21-isidlinin-ortak-noktasi-dokumaci-ve-adiyamanli-olmalari

http://www.internethaber.com/dokumacilar-grubu-nedir-liderleri-kimdir-1478571h.htm

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