今から16年前の今日、1999年8月17日午前3時2分、トルコ北西部の町イズミットのコジャエリ/ギョルジュクを中心としたマグニチュード7.5の大地震が起こりました。
この地震はマルマラ地方全域、アンカラ、イズミールなど広い範囲で感知されました。
2010年公式調査による数字では、死者18,373人、負傷者48,901人。非公式な情報によると、約5万人の死者、10万人近い重軽傷者が出たとも言われています。また、133,683棟の家屋が倒壊し、約60万人が家を失いました。トルコ近代史上最悪の部類に入る大災害でした。
中心的な被災地となったマルマラ地方は、トルコで有数の工業地帯でもあり、この地震はトルコ全土に甚大な被害をもたらしました。
また、イスタンブール近郊に発達した工業地帯ということで、短期間で建設されたアパートメントが数多く倒壊し、業者の手抜き工事が社会問題として指摘されるきっかけとなりました。
個人的な体験談になりますが、地震当時、私は1か月かけたトルコ旅行の最終段階で、パムッカレで有名なトルコ西部の町デニズリにおりました。震源地となったイズミットにはちょうと1か月前に立ち寄り、現地の人々の温かいホスピタリティに溢れた対応が昨日のことのように思い起こされる、そんなタイミングのできごとでした。
当然ながら現地の知人は誰一人連絡が取れず、それどころかイスタンブールへも日本への国際電話も一切が不通のパニック状態でした。
不安を抱えながら高速バスでどうにかイスタンブールまで戻り、帰国の便を待って過ごしたイスタンブールのホテルでは、余震の恐怖から家屋の中で眠れない多数の市民が目の前のタクシム広場で寝泊まりしているのが見えました。
イズミットでの地元の人々との温かな交流やのんびりした海辺の風景が突如として破壊されながら、何もできない自分にどうしようもない歯がゆさを感じつつ、後ろ髪を引かれながら帰国したことを覚えています。
それから半年後の3月、無事の確認が取れていた現地の友人一家を訪れました。
海辺にあった彼らのアパートメントは海に流されてしまっており、4人姉妹とその両親の6人家族はすぐ近くに設営されたテント村で生活していました。
まだ被災の爪痕が痛々しく残るテント村のすぐ近くに集団墓地があり、大切な家族や親類、友人を喪った人々の悲しみが色濃く漂っていました。
しかし、テント村を隅々まで案内してくれた友人や、招き入れてくれたテントの住人たちは、不自由な環境でも前向きでした。
トルコの人々は住空間をとても大切にします。
外側がどんなにボロ屋であっても、内部は整然として、キリムや絨毯、きちんとしたインテリア家具、そこかしこに細やかな装飾品が彩りを添えている、そんな室内空間によく出会います。
仮の住まいであるテントでさえ、その内部には花を飾り、手編みのレースなどがあしらわれていました。
そこに、私はトルコの人々のたくましさを感じました。
疲弊した中でも今ある生活を大切にし、キラキラした目で地域図書館の再建プロジェクトについて教えてくれた友人の顔を、今でも思い出します。
あれから16年、4人姉妹の内2人は既に結婚して子供もいて、それぞれに仕事を持ったり専業主婦になったり、元気に生活しています。仕事場を失ったお父さんも新たに職場を持ち、ひたすら明るく元気だったお母さんも相変わらず元気なようです。
イズミットには、現在IHIが建設を進めるイズミット湾横断橋が、2016年1月末の完成見込みとなっています。長さ2682m、主塔間距離1550mで、世界第4位の長さの吊り橋となります。
この橋が完成すると、イスタンブールからイズミールへの車による移動時間が大幅に短縮される予定で、イズミット含むトルコ北西部への大きな経済効果が見込まれます。
発展の道を突き進むトルコ。
被災の記憶を風化させることなく、新たな時代を築いて行って欲しいと思います。
https://tr.wikipedia.org/wiki/1999_G%C3%B6lc%C3%BCk_depremi#cite_note-ref606-3
http://www.radikal.com.tr/radikalist/17_agustosun_icimizde_biraktigi_zehir_deprem_psikolojisi-1416605
http://www.ihi.co.jp/var/ezwebin_site/storage/original/application/706fe12902f44fc8773593777658f226.pdf
この地震はマルマラ地方全域、アンカラ、イズミールなど広い範囲で感知されました。
2010年公式調査による数字では、死者18,373人、負傷者48,901人。非公式な情報によると、約5万人の死者、10万人近い重軽傷者が出たとも言われています。また、133,683棟の家屋が倒壊し、約60万人が家を失いました。トルコ近代史上最悪の部類に入る大災害でした。
中心的な被災地となったマルマラ地方は、トルコで有数の工業地帯でもあり、この地震はトルコ全土に甚大な被害をもたらしました。
また、イスタンブール近郊に発達した工業地帯ということで、短期間で建設されたアパートメントが数多く倒壊し、業者の手抜き工事が社会問題として指摘されるきっかけとなりました。
個人的な体験談になりますが、地震当時、私は1か月かけたトルコ旅行の最終段階で、パムッカレで有名なトルコ西部の町デニズリにおりました。震源地となったイズミットにはちょうと1か月前に立ち寄り、現地の人々の温かいホスピタリティに溢れた対応が昨日のことのように思い起こされる、そんなタイミングのできごとでした。
当然ながら現地の知人は誰一人連絡が取れず、それどころかイスタンブールへも日本への国際電話も一切が不通のパニック状態でした。
不安を抱えながら高速バスでどうにかイスタンブールまで戻り、帰国の便を待って過ごしたイスタンブールのホテルでは、余震の恐怖から家屋の中で眠れない多数の市民が目の前のタクシム広場で寝泊まりしているのが見えました。
イズミットでの地元の人々との温かな交流やのんびりした海辺の風景が突如として破壊されながら、何もできない自分にどうしようもない歯がゆさを感じつつ、後ろ髪を引かれながら帰国したことを覚えています。
それから半年後の3月、無事の確認が取れていた現地の友人一家を訪れました。
海辺にあった彼らのアパートメントは海に流されてしまっており、4人姉妹とその両親の6人家族はすぐ近くに設営されたテント村で生活していました。
まだ被災の爪痕が痛々しく残るテント村のすぐ近くに集団墓地があり、大切な家族や親類、友人を喪った人々の悲しみが色濃く漂っていました。
しかし、テント村を隅々まで案内してくれた友人や、招き入れてくれたテントの住人たちは、不自由な環境でも前向きでした。
トルコの人々は住空間をとても大切にします。
外側がどんなにボロ屋であっても、内部は整然として、キリムや絨毯、きちんとしたインテリア家具、そこかしこに細やかな装飾品が彩りを添えている、そんな室内空間によく出会います。
仮の住まいであるテントでさえ、その内部には花を飾り、手編みのレースなどがあしらわれていました。
そこに、私はトルコの人々のたくましさを感じました。
疲弊した中でも今ある生活を大切にし、キラキラした目で地域図書館の再建プロジェクトについて教えてくれた友人の顔を、今でも思い出します。
あれから16年、4人姉妹の内2人は既に結婚して子供もいて、それぞれに仕事を持ったり専業主婦になったり、元気に生活しています。仕事場を失ったお父さんも新たに職場を持ち、ひたすら明るく元気だったお母さんも相変わらず元気なようです。
イズミットには、現在IHIが建設を進めるイズミット湾横断橋が、2016年1月末の完成見込みとなっています。長さ2682m、主塔間距離1550mで、世界第4位の長さの吊り橋となります。
この橋が完成すると、イスタンブールからイズミールへの車による移動時間が大幅に短縮される予定で、イズミット含むトルコ北西部への大きな経済効果が見込まれます。
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https://tr.wikipedia.org/wiki/1999_G%C3%B6lc%C3%BCk_depremi#cite_note-ref606-3
http://www.radikal.com.tr/radikalist/17_agustosun_icimizde_biraktigi_zehir_deprem_psikolojisi-1416605
http://www.ihi.co.jp/var/ezwebin_site/storage/original/application/706fe12902f44fc8773593777658f226.pdf
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