2015年12月1日火曜日

トルコ-EU首脳会議の結論

<トルコとの貿易・輸出入、トルコ投資、トルコ進出を考える日本の企業様へ>

11月29日、トルコ-EU首脳会議が終了した。
会議後、アフメット・ダウトオール首相と、EUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員会委員長との共同記者会見が開かれた。


主だったポイントは次の通り。

●EUは、トルコが難民の再受入れ合意から生じる義務を完遂するならば、2016年10月以降ビザの免除を開始することができるとの決定に至った。

●EUは、トルコにシリアからの避難民のために30億ユーロ支払う。

●EUは、避難民の状況に対して展開に応じて支援を検討する。

●トルコは国内に残ったシリア人の避難民の就労を可能にする法の整備を行う。法案の文章次第でEUとトルコで年二回の首脳会議を行う。

トゥスク大統領:
「EU-トルコ間の合意は2016年に適用される。」

ユンケル氏:
「我々の関係は高いレベルで更新された。避難民の危機に関して共通の合意に至った。欧州とトルコ共同でこの問題を解決するだろう。」
「30億ユーロの支援をトルコに対して行う予定だ。」

ダウトオール首相:
「1年ぶりに歴史的な首脳会談を行った。」
「EUと共同のメカニズムを構築する決定に至った。」
「毎年2回の首脳会談をを実施する決定を行った。」
「12月14日に第17回タイトルを開催する。」
「トルコのEU加盟プロセスは活性化するだろう。」
「ビザ免除と再受入れに関して取り組まれる。」
「30億ユーロはトルコへではなく、難民に渡される。」
「再定住に関して話し合いを続行する。」

以上、11月29日付けRadikal紙より。

大量に国内に流入するシリア難民についてこれまでも国際社会にアピールしてきたトルコの、難民受け入れを切り札に停滞していたEU加盟交渉を活性化させるという思惑は、大筋で成功しているようだ。

イタリアのロベルタ・ピノッティ防衛大臣は、
「トルコをEUに組み入れてこなかったのは歴史的な失敗だった。今改めてそのチャンスの扉が開かれている。」
と話している。
「トルコがEU加盟を強く望んだ時、特にサルコジ政権下のフランスとドイツによってその交渉は止められた。2005-2007年のことだ。今、このチャンスの扉は再び開かれている。トルコのようにこの地域で大きな勢力である国家に対して、ヨーロッパとして対話を通して関係すべきか、そうでなければ、関係がより難しい状況に我々自身を押し込むべきか。様々な状況を乗り越えることを我々は学ぶ必要があると私は思う。」(11月30日付けRadikal紙

トルコのEU加盟に追い風が吹いている。


ところで、そのトルコの切り札である「難民受け入れ」について、先般トルコのある人権団体の担当者に話を伺う機会があった。
トルコは既に200万人以上の難民を受け入れているが、多くの難民が死を賭してまでゴムボートでヨーロッパに渡ろうとするのはなぜか。トルコ国内での難民生活が楽ではないことは当然だが、それでも生きていくことはできる。命を危険にさらしてまでヨーロッパを目指す理由は何なのか。
この問いに対して、人権団体の担当者の返答は次のようなものだった。

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現在トルコにいるシリア人の数は220万人程度。彼らはトルコ国内で自由に行き来することができるが、それも困難な人々のために、政府は各地に無料の難民キャンプを作った。このキャンプでは人々は無料のサービスを受けることができる。食料ニーズ、就学ニーズ、衛生、医薬品などのサービスは無料で政府によって提供されている。これらのキャンプ以外にも、各地で多数の難民が暮らしている。中にはいろいろな仕事を見つけて働いている人々もあるが、当然この状況下で高い給料は見込まれず、また住む場所も賃貸しなければならない。トルコで、特にイスタンブールでは家賃は非常に高く、それゆえに苦しい状況に追い込まれている可能性もある。通常は何家族かで一緒に家を借り、どうにかして都市に残ろうとする。キャンプ生活を望まない人々は、こちらの道を選ぶ。トルコの経済力は大きいが、我々もこの難しい地理において出来る限りの支援を行おうとしている。これまでに、国連もEUもこれらの難民に対して本格的な支援を行ってきていない。トルコはたった一人でこれらの人々が絶望しないよう、これまでに80億トルコリラ(約3390億円)ものお金を費やした。彼らに無料で教育や保健サービスを国として施してきた。しかしながら、これほどの数の人々をケアすることは非常に難しく、ヨーロッパでもいくつかの国では1000人すらケアできないでいるという現状がある。この条件下で、政府は出来る限りのことを行っているが、人々がより良い暮らしを求めるのは彼らの基本的な権利である。我々は人々が望んだ場所で暮らす必要があると考えている。彼らは、全てではないが一部の人々はヨーロッパへ行きたがる。また、ヨーロッパにいる親類縁者を頼って行き、そこで良い仕事を見つけられる可能性に賭けている人々もいる。特にドイツやイギリスが人気である。
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今回のEUによる30億ユーロ(約3900億円)の支援が、今後の難民の悲劇を食い止められるのか。

EUにおけるトルコの立場は、トルコの難民問題への対応如何にかかっている。
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